長打を打つためには?
こんにちは!
Noble Actionです!
皆さんは、東京ヤクルトスワローズの村上選手や埼玉西武ライオンズの山川選手のような長打を連発できる選手になりたいですか?
本記事では、長打を打つために必要なことを様々な観点から深堀していきます!
【この記事でわかること】
1.フライボール革命とは、フライを打つことで長打につながり得点に貢献すること
2.バレルゾーンとは、打球角度と打球速度から長打につながるための指標
3.スイング速度が飛距離を伸ばすために重要であり、除脂肪体重を増やすことで日本人も十分可能性を持っている
【目次】
1.フライボール革命とは
2.バレルゾーンとは
3.打球速度はこれで決まる!
4.打球角度を上げるための方法とは
5.体の大きさは重要なのか
6.技術練習に加えて筋力トレーニングもしよう!
1.フライボール革命
皆さんは、フライボール革命という言葉を聞いたことはありますか?
2017年、メジャーリーグでは過去最多となる6105本の本塁打が飛び出しました。
これは打者がフライボールを打つことで、得点につながりやすいということでフライを打ち始めたことが関係しています。
日本でも少しずつ浸透し始めてきて、バッティングについて見直す動きも現れてきています。
このフライボール革命はなぜ起きたのかについて考えていきたいと思います。
表1.各打球イベントの発生割合と打球結果別割合(2020年MLBデータ)
Baseball Geeksより引用、筆者一部改変
この表を見ると、発生割合としてはゴロが最も高いことが分かりますが、長打率は低いことが分かります。
これは、ゴロ球を打ってしまうと長打が難しく単打の可能性が高いことが明らかです。
次に、ライナーを見てみましょう。
ライナーでは、安打率が高く、長打率も最も高いことが分かります。これは、打者からすると出塁しやすく得点に結びつく打球であることが分かります。
さらに、外野フライでは、本塁打の割合が最も高く、フライ系のボールを強く打つことが最もホームランとなり、得点につながることが分かります。
このライナーと外野フライは、得点に貢献する打球であると言えます。
このことからもフライボールを打つ方が、得点が入り、勝利につながるということが考えられます。
さらに、近年のMLBではトラッキングデータの発展により、打球データの分析が正確になってきたことで、選手の傾向に合わせて守備位置を考えるようになりました。
守備シフトがしっかりとしているということは、ゴロ球での安打も抑えることにつながり、よりフライボールを打つことが求められるようになるかもしれません。
2.バレルゾーンとは
先程のデータからもフライボールの有効性が明らかとなり、フライを打つことが増えました。
しかし、フライを打っても飛距離が足りなければ外野手に捕られてアウトを増やすだけになってしまいます。
そこで作られたのが「バレル」という指標です。
このバレルとは、打球速度と打球角度の組み合わせで構成されるゾーンのことであり、ゾーンに入った打球は必ず打率5割、長打率1.500以上となります。
これは、「どんな打球」を「どんな角度」で打ち出せば長打になるのかを示す指標となっています。
図1.バレルゾーンとは
日刊スポーツより引用
バレルゾーンに入るためには、打球速度が最低158km/hが必要で、その際には打球角度26〜30度の範囲(図の中の赤い範囲)がバレルゾーンになります。
バレルになる角度は、打球速度が速くなれば速くなるほど広がり、187km/hに到達すると、8〜50度の範囲がバレルゾーン(図の中のオレンジの範囲)となります。
「フライの有効性」が明らかになりましたが、データから見るとどのような打球を打つことが重要なのかが明確になってきています。
自分の打球速度や打球角度を知ることで、より得点につながる打球につながるのではないかと思います。
3.打球速度はこれで決まる!
先程のバレルゾーンを決定づける大切な要素の1つであるのが打球速度です。
その打球速度を決める要因は、主に5つあります。
- ボールの反発係数
- 投球速度
- バットの形状(重さ、長さ)
- スイング速度
- 打撃するインパクト位置
これらの要素が組み合わさることで、打球速度が高まり強い打球へとつながっていきます。
一般に、「投球速度が速いと当たれば飛距離が出る」と考えられていますが、研究報告によると、投球されたボールの速度が1km/h上がることで、飛距離は0.13m伸びることが示されています。
一方で、スイング速度は1km/h上がると飛距離が1.3m伸びると言われています。
この2つを比べると、ボール速度が打球飛距離に与える影響は、スイング速度の10分の1しか貢献しません。
バットの質量の影響について見てみましょう。
研究によると、バットの質量が重くなると打球速度は上昇します。しかし、バットの質量は重くなるに従って打球速度の増加は緩やかになってきます。
図2.バットの質量と打球速度の関係
Baseball Geeksより引用、筆者改変
これを見ると、重いバットを振ればいいと感じてしまいますが、重いバットはその分、スイングがしにくくなってしまいます。
結果的には自分がスイングしやすい中で重めのバットを振ることが良いのではないでしょうか。
図3.バットの質量と打球速度の関係
Baseball Geeksより引用、筆者改変
この図を見ると、スイング速度が上がると直線的に打球速度も上昇します。
先程のバットの質量が重くなっていくと打球速度は向上しますが、重過ぎてしまうとスイング速度は低下してしまいます。
スイング速度は、1km/h上がると飛距離が1.3m伸びると言われていることからもスイング速度を低下させることは望ましくないと言えます。
総合的に考えると、打球速度を高めるうえで最も重要なのは、スイング速度を高めることです。
スイング速度は今MLBでも最も注目が集まっている指標のひとつになっています。
4.打球角度を上げるための方法とは
バレルゾーンには打球角度も重要です。それでは打球角度を大きくするためにはどのようにすればよいのでしょうか。
イメージするのは、ボールの中心の下をこするように打ち、バックスピンをかける方法かもしれません。
しかし、研究によってこの方法は効果的ではないことが明らかになっています。
無回転のボールとバックスピンのかかったボールを比較すると、当然バックスピンのかかったボールの方が作用する揚力(マグナス力)は大きくなり、遠くに飛ばすことができます。
単純にボールの回転を増やすことでボールは飛ぶようになるわけではなく、最も飛距離が出ると考えられる角度や回転数でボールを打つ必要があります。
研究によって、明らかにされている打球の角度と位置は以下の図に示されています。
図3.理想とされるボールインパクトの角度
Baseball Geeksより引用
この図を見ると、19度アッパースイングで、ボール中心の0.6cm下側をインパクトすると、飛距離が最大化すると考えられています。
投球されたボールは重力の影響を受けるため落下しながら打者へ向かってきます。
そのため、フライのボールを打つためにはアッパー気味の軌道でボール中心のわずか下側をインパクトすることが重要になります。
これだけ聞くと、ほんの誤差のように感じるかもしれませんが、ボールの下を0.6cm打つという技術を身につけているからこそ、トップで活躍できるのではないでしょうか。
ただフライボールを打てばよいと考えずに、このあたりを打つと良いという感覚を身につけていきましょう!
5.体の大きさは重要なのか
野球をしている中で、「メジャーリーガーは身体が大きいから長打をたくさん打てる」、「日本人は身体が小さいからメジャーでは活躍できない」など、身体の大きさで海外との差を感じている人も多いのではないでしょうか。
体の大きさが、打球能力に影響するのかについて考えてみましょう。ここでは、除脂肪体重(体重から脂肪量を除いた体重)を参考にしてみましょう。
図4.除脂肪体重とスイング速度の関係
Baseball Geeksより引用、筆者改変
この図から、どれくらいの除脂肪体重があると良いのかを考えてみましょう。
バレルゾーンの最低条件は、打球速度は158km/hです。これを相関関係から換算すると、おおよそ必要なスイング速度が約128km/hとなります。
さらに、これを図4に当てはめると、おおよそ打球速度158km/hを目指すには、除脂肪体重約65kgが必要となります。
日本人野球選手の平均的な体脂肪率である体脂肪率15%と仮定すると、体重約77kgで、除脂肪体重が65kgを超えることができます。
「体が小さいから」というのは、もう古い考えであり、バレルゾーンを理解して、体づくりをすることによって、多くの選手が長打を打つことができることが証明されています。
6.技術練習に加えて筋力トレーニングもしよう!
今回は長打が打つための理論についてまとめてきました。簡潔にまとめると長打に必要なのは以下になります。
・打球速度
・打球角度
・除脂肪体重
もちろん打撃は多くの技術要素を含むもので、簡単なものではありません。
しかし、バレルの最低条件の身体になることで長打の可能性は飛躍的に上昇します。
技術練習だけでなく筋力トレーニングも練習に取り入れ、長打を量産しましょう!
引用・参考文献
- Baseball Geeks:【打撃特集4】打球速度を決める運動量とは!バットの質量×スイング速度(閲覧日:2022年9月1日)
- Baseball Geeks:注目の指標バレルとは?打球速度と打球角度の重要性(閲覧日:2022年9月1日)
- Baseball Geeks:フライボール革命は日本人にも可能か?長打量産に必要なものは?(閲覧日:2022年9月1日)
- 日刊スポーツ:長打率が高くなるバレルゾーン/フライボール革命(閲覧日:2022年9月1日)
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