球速アップに迫る
こんにちは!
Noble Actionです!
投手をしている皆さんは、大谷翔平選手や佐々木朗希選手のように速い球を投げたいと思いますよね。
本記事では球速アップのトレーニングとそのリスク、また球速が上がることで生まれるメリットについてまとめてみました!
【この記事でわかること】
1.通常のボールより、やや重い・軽いボールはトレーニング効果がある
2.重いボールでのトレーニングは、肘を痛める可能性がある
3.球速が上がると、長打の割合が減り、空振り率が上がる
【目次】
1.筋肉の特性…力―速度曲線とは
2.重さの異なるボールが及ぼす肘への負担
3.球速が向上することの効果
1.筋肉の特性…力-速度曲線とは
最初に、筋肉の特性について簡単に解説をしていきましょう。
筋には力―速度関係という特性があります。
これは、発揮される力が大きくなるにつれて速度が低下していくというものです。反対に、速い速度での運動の時には、筋力はあまり発揮されません。
例えば、カラーバットのような軽いバットでは、スイングスピードは速くなりますが、強い打球にはならないですよね。
このことから、
最大筋力を出すには重い負荷を持ち上げるような速度が遅いトレーニング
最大速度を出すには負荷の軽いものを動かすような速度が速いトレーニング
を行うことが有効になります。
大事なことは、目的によってトレーニング方法が異なるということです。
近年になって、通常のボールの重さとは異なるボールを投げることで、球速が速くなるということが日本の野球界で広まってきています。
先程の力と速度の関係から考えると、重いボールを投げると球速は遅くなり、軽いボールを投げると球速は速くなるのではないかと考えられます。
さらに、ボールに加わる力との関係についても同時に見てみましょう。
この図を見ると、ボールが軽い方が、球速は速いがボールに加わる力は弱くなることが分かります。
このことから、重さの異なるボールを使ってトレーニングをする場合、軽いボールでは速度向上、重いボールでは力発揮向上のトレーニングにつながるのではないのかと考えられます。
なお、通常のボールの重さから約20%重い、軽いボールを使ったトレーニングであれば、球速の向上が報告されています。
しかしながら、いくつかの研究では、20%を超える重過ぎるボールや軽すぎるボールでは効果がないことも明らかになってきています。
Tillaarによると、この異なるボールによる球速アップのトレーニングの要因は、筋肉の特性よりも力発揮のタイミングや筋線維の活動を起こす神経的な適応が起こっているのではないかと考えられています。
2.重さの異なるボールが及ぼす肘への負担
これまでは、ボールの重さの違いで球速が向上するというメリットの面だけ伝えてきました。
デメリットの部分に着目すると、実際は、これらの実験で、トレーニングをした19名のうち2名が投球腕以外の故障、2名が肘を故障し離脱してしまいました。
また、その後のシーズンで残り15名のうち2名が肘を故障しました。つまりこの実験で17名中4名(24%)が投球腕を故障してしまいました。
ピッチングは、バッティングなどに比べ肘や手首などの末端の速度が高く、肘への負担が大きくなってきます。
特に肘の内側にある靭帯のストレスが大きくなり、怪我のリスクが高まります。いわゆる野球肘になってしまうリスクが高まるということである。
通常のボールと重いボールを投げ比べると、肘の靭帯へのストレスは高校生・大学生では変化が小さいことや、9~14歳ではボールが重くなるにつれて負担が大きくなるという報告もあります。
また、通常のボールでも、球速が速くなるほど靭帯へのストレスも大きくなることが分かっています。
重いボールを投げる際には、技術や経験なども影響すると考えられ、重いボールを使ったトレーニングを素直にお勧めすることはできません。
まずは、通常のボールでフォームや体の使い方などを理解してから、トレーニングについて考えていくことが大切になってきます。
球速アップを考える際には、当たり前ですが肘や肩などのケガを考慮してトレーニングをする必要があります。
3.球速を向上することの効果
ストレートや4シームなど、速球は投手が多用する球種であり、最高速度は投手のステータスの一つにもなっています。
球速が速いと試合においてどのような効果があるのか見てみましょう。
球速に対して、安打率、長打率、打球速度、打球角度、スイング率(ストライクゾーン、ボールゾーン)についてどのような影響があるのかについて表にまとめてみました。
この表から分かることは
- 球速が上がると安打は変わらないが、長打を減らすことができる
- 球速が上がると打球角度が低くなるため、フライになりにくく、長打が減らせる
- 球速が上がると、ストライク・ボールゾーン関係なく、スイングを誘えるようになる
また、③のスイング率における空振りの割合についても、球速が上がるほど空振り率も高くなることが分かっています。
このことから、球速を上げることは、安打の割合はかわらないものの、長打につながりにくくなることが分かります。
その理由として、打球の角度が低くなるため、ゴロのボールとなる確率が上がるためです。
今回参考にしている球速は150km/h前後のデータとなるため、高校生年代でのデータではまた変化するかとは考えられるが、球速が上がることで同様の効果が得られるものと考えられます。
球速が上がることで多くのメリットが生まれますが、無理なトレーニングをして球速を上げようとすることは、身体への負担が増えてケガのリスクが増してしまいます。
自分の身体を大切にしてレベルアップしていきましょう!
引用・参考文献
- Baseball Geeks:投手必読!球速アップに向けて知っておくべき「効果的なトレーニング」と「怪我のリスク」(閲覧日:2022年10月1日)
- Van Den Tillaar Roland, and Ettema Gertjan. (2004) A force-velocity relationship and coordination patterns in overarm throwing. Journal of Sports Science and Medicine 3: 211-219.
- Baseball Geeks:【2021年】球速アップのメリットとは?データからその重要性を再確認!(閲覧日:2022年10月1日)
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