ピッチングにおける球持ちとは
こんにちは!
Noble Actionです!
皆さんは球持ちという言葉を聞いたことがありますか?
球持ちという言葉を知っていても、球持ちが良いことでどのような効果があるのかを知らない人はいると思います。
本記事では、「球持ちの良さ」がもたらす効果についてまとめていきます。
【この記事でわかること】
1.エクステンションが大きくなると、打者の空振り率の向上、打球速度が低下する
2.エクステンションが伸びると、球速は向上し、リリース位置が下がる
3.エクステンションが大きくなりすぎる(リリースの高さが低くなる)と球速は低下する可能性がある
【目次】
1.エクステンションと打者への影響
2.4シームから見た「球持ち」の影響
3.球持ちの良さは、球速を高める効果はある?
4.「球持ち」の考え方
1.エクステンションと打者への影響
野球の中で、「エクステンション」という言葉を耳にしたことはありますか?日本語では、「延長」や「伸長」などと訳されます。
球持ちについて考えるにあたって、このエクステンションという言葉は重要になってきます。
エクステンションとは、ピッチャーが投球をする際に、ピッチャープレートからリリースの位置までの距離を指します。
これは、マウンドを上から見たときに、プレートの位置とリリースする手の位置の距離になります。
野球の中では、このエクステンションが大きいことを「球持ちが良い」と表現されることが多いです。
それでは、「球持ち」について、考えていきましょう。
「球持ちが良い」ということはどんなメリットがあるのでしょうか。以下の2点が言われています。
・打者が打ちにくいと感じる
・球速が速くなる
エクステンションという観点から、打者への影響について考えてみましょう。
この図を見ると、エクステンションが伸びる(打者までの距離が近くなる)ほど打たれた時の打球速度が低下していくことが示されています。
打球速度が低くなるということは、バレルゾーンの打球速度が低下するため、長打のリスクを低下させることにつながります。
この図を見ると、エクステンションが伸びる(打者までの距離が近くなる)ほど空振りの可能性が高くなることが分かります。
空振りは失点のリスクが最も低い、打者のイベントになっています。
これらの打者への影響を考えると、エクステンションが大きいと打者が打ちにくくなるということになります。
しかし、これだけで球持ちの効果を判断できるとは言えません。
2.4シームから見た「球持ち」の影響
エクステンションの打者への影響については理解できたと思います。
それでは、エクステンションの大きさは、4シームの重要な要素である球速にどのような影響があるのでしょうか。
この図を見ると、平均あたりまでは、緩やかに球速が上昇していくのが分かります。平均を超えると、頭打ちとなりそれ以上の球速の向上は望めなません。
この理由としては、エクステンションが伸びるということは、ボールをリリースするまでの時間が長くなることで、ボールに伝える力が大きくなるためであると考えられます。
これは、力積(力×時間)からも考えられるが、一定以上になるとボールに力を伝えづらくなるため、頭打ちになるものと思われます。
この図を見ると、エクステンションが伸びるほど、リリースの高さが低くなっていくことが分かります。
これは、リリースの位置が体の前側になることで、自然と腕の位置が下がり、リリースの高さが下がってくるものと考えられます。
また、この特徴は、オーバーハンド・スリークオーターハンドの投手に見られることとも考えられます。
先程の球速が向上することは、投手にとっては有利に働くことが分かりました。また、リリースの高さも低くなることが分かりました。
4シームのような速球では、リリース位置から打者までの入射角度(打者のもとへ飛んでくるときの角度)が水平に近い方が空振りの確率が向上することが言われています。
先程の打者への影響で空振り率が増加した理由は、球持ちが良いという言葉では説明ができず、入射角度、球速など様々な要因が重なり合ったことで起こっている可能性が考えられます。
3.球持ちの良さは、球速を高める効果はある?
これまで用いてきたエクステンションの値は、絶対値であり身長が大きい選手や腕のリーチが長い選手では必然的に長くなってきます。
それでは、身体が小さい選手は、腕を遠くまで伸ばしてエクステンションを伸ばすことが有効と言えるのでしょうか。
エクステンションの長さではなく、エクステンションの比率を用いることで、選手の条件を統一して、球速に有効なのかを見てみましょう。
この図のエクステンション比とは、エクステンションをリリースの高さで割った値になります(エクステンション比=距離÷高さ)。
エクステンション比が大きい選手は、エクステンションが長い選手ということになります。
球速はエクステンション比が平均より少し大きいところまでは上昇する関係にありますが、それ以上になると球速が低下していくことが分かります。
これは、「エクステンションを伸ばそう」、「球持ちを良くしよう」と考えて投げてしまうと、反対の効果になってしまう可能性があるということです。
4.「球持ち」の考え方
球持ちについては、結果的に投手にとって、プラスの効果がある可能性が分かりました。
しかしながら、球持ちを意識しすぎることで、反対にマイナスの効果があることも分かりました。
総合的に考えると、自分にあった最適なリリースポイントを探っていくことが重要なのではないかと考えられます。
引用・参考文献
- Baseball Geeks:「球持ちの良さ」は本当に重要?ピッチングへの影響をデータで探る(閲覧日:2022年9月3日)
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https://lin.ee/AvHBhUo