投手の肩関節と球速の関係
こんにちは!
Noble Actionです!
野球における投球動作において、肩関節はとても重要であるが、肩の解剖などについて理解している選手は少ないのではないでしょうか。
今回は、野球選手にとって最も重要な体の部位といえる肩関節に注目して、肩と投球の関係性について解説していきます!
【この記事でわかること】
1.肩関節は自由度が高いが、不安定な関節であり、ケガの予防が重要
2.肩関節の安定には、インナーマッスルのトレーニングが重要
3.肩関節の最大外旋位が大きくなると球速が向上する
【目次】
1.野球における肩関節の重要性
2.肩関節の構造と筋群
3.肩関節の「内旋」と「外旋」が投球のカギ
4.肩関節の外旋角度の重要性
1.野球における肩関節の重要性
投球動作において、肩はとても重要な役割を持ち、投手だけでなく、捕手や野手など強い球を投げる必要がある場面が多く見られます。
野球の中では、速いボールや遠投能力が高い選手のことを「肩が強い」と評価されることが多くあります。
野球選手では、インピンジメント症候群や腱板損傷など肩に関するケガは多く見られ、肩のケアやインナーマッスルトレーニングや可動域の確保など、ストレッチからトレーニングなど幅広く注目される関節であることは、広く知られています。
肩や肩甲骨のストレッチなどは、投手の中でもこだわりも見られ、前田健太選手の「マエケン体操」が有名であり、投手にとって肩甲骨の柔軟性は投球や怪我の予防に効果的であることが考えられます。
肩関節は他の関節と比べて、比較的自由に動かせる関節であり、自由が効くがゆえに不安定な関節でもあります。
さらに、肩の重要性は理解しているものの、どのような関節であるのか、どのような筋肉があるのかなど知らないことが多くあるのも事実かと思います。
2.肩関節の構造と筋群
肩関節(肩甲上腕関節)の上には、鎖骨と肩甲骨(肩峰)をつなぎ合わせる関節(肩鎖関節)があります。
肩関節(肩甲上腕関節)は、球関節であり、カップのような関節と球状の関節面からなり、自由に動かすことができる反面、不安定なためケガにつながりやすい特徴があります。
肩鎖関節は肩の位置を保つ役割と上肢を胴体に繋ぎとめる重要な役割を担っています。
腕の動きに対して肩甲骨と共に上下左右・回旋の動きが可能になります。
肩鎖関節は平面の関節であり、関節面が平面に近い形をしています。
前後・左右への運動が可能ですが、関節面で回旋することもできるため肩甲上腕関節と同様に自由に動かすことができる関節です。
また、肩には肩甲胸郭関節と呼ばれる機能的関節があり、この関節は肩関節において非常に重要や役割を果たします。
肩甲胸郭関節の機能低下は肩のケガに大きく影響します。
このように肩はいくつかの関節が複合的に動くことで、持ち上げる、投げる、押すなどの複雑な運動を可能にしています。
特に、肩甲上腕関節はケガの多い関節なため、覚えておいてほしい関節です。
肩周辺の筋群には図のような筋群があります。
このうち、インナーマッスルとよく呼ばれる筋群は、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋であり、ローテーターカフとも呼ばれます。
肩のケガ予防のインナーマッスルトレーニングとは、上記の筋群を刺激するトレーニングで肩関節の安定に重要であることを覚えておきましょう!
3.肩関節の「内旋」と「外旋」が投球のカギ
肩の動作には、肩関節を中心に腕を上下に動かす「伸展・屈曲」や肩関節を中心に横から腕を上下する「内転・外転」があります。
さらに、野球の投球動作のカギとなると言われているのが、「内旋・外旋」という動きです。
これは、肘を曲げた状態で掌や手の甲の方向に腕を動かす動作になります。例として、手で風を起こそうとするときに、手をパタパタ動かすような動作です。
投球動作における肩関節の内旋の動作は、ボール速度に最も影響を与えていることが明らかになっています。
投球における関節運動が、球速にどのような影響を与えるかを検討した研究では、肩関節の内旋動作が、100%のうち1/3も影響していることが明らかにされています。
他にも手首や肘、体幹なども影響していますが、下半身で得られたエネルギーをボールに強く与えるためには、この肩関節の内旋がとても重要になってくることが分かります。
4.肩関節の外旋角度の重要性
投球において、ボールへエネルギー伝達に影響する重要な局面として、肩関節が最も外旋した姿勢を肩関節の最大外旋位があります。
これは、投球における後期コッキング期と呼ばれる下半身で生まれたエネルギーを、体幹を通ってボールに伝える際に、肩関節を最大外旋する姿勢になっています。
この、肩関節の最大外旋位が大きくなると、ボールを加速させる時間が長くなり、ボール速度を高める効果も期待できるといわれています。
これは力積(力×時間)が大きくなることで、ボールへの力が大きくなり、ボール速度を高めることにつながっていると考えられます。
この肩関節の外旋には、肩甲上腕関節と肩甲骨の動きが重要であることが明らかになっています。
この局面の指導を行う際によく使われることが、「胸を張って投げる」と言われることがあります。
この胸を張って投げるという指導には以下の効果があると考えられます。
- 腕が振れるようになる
- 打者に対して体でボールが隠れるため、読まれにくい
- 肘が下がることを予防できる
- 肩への負担を軽減できる
これらの効果から、腕が振れるようになり球速が上がる、肘が下がるのを予防することで、肩への負担の軽減や肘への負担が減り、ケガの予防につながると考えられます。
肩関節の解剖学を知り、投球動作でどのように使われているのかを理解することで、パフォーマンスの向上やケガの予防などにもつながり、野球をするうえでとても重要な知識になります。
野球においては、肩だけでなく下半身や体幹の使い方についてもとても重要になります。
少しずつ知識を蓄えて、科学的なプレーも意識してみてはいかがでしょうか。
引用・参考文献
- Baseball Geeks:胸を張って投げろは本当?投手の肩の柔軟性と球速の関係(閲覧日:2022年9月14日)
- 日本整形外科学会:肩の関節可動域(閲覧日:2022年9月14日)
- McDavid SPORTMED LABO:カラダとケガについて(肩の解剖学)(閲覧日:2022年9月14日)
- しみずばし鍼灸整骨院:野球選手のケガの施術、ケア方法(閲覧日:2022年9月14日)
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